アートピアノ ブログ~art piano’s blog~

ピアノ修理会社の3代目 ピアノ修理やオルガン修理の様子をお伝えします。

ヤマハ オルガン 5号 11個ストップ 「黒帯」 ④

塗装をする前に浮いている化粧板を止めていきます。
分かりやすく剥がれている化粧板の他に、見えなくても触ってみると剥がれかかっている化粧板が沢山ありました。
そこに接着剤を丁寧に流し込んで止める作業を行っています。後々のトラブルを軽減させる効果があります。

 

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元の塗料を落とすとキレイな木肌が出てきました。化粧材は樺材です。

 

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欠けていた黒帯の部分は木をはめて補修します。

元の木はおそらくミズメザクラだとの事です。余談ですミズメザクラは桜では無く、樺の一種だそうです。

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分解したパーツ類

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木を染めた工程です。この段階である程度色が決まります。

アンティーク調の落ち着いた色合いになったと思います。
黒帯もしっかり染まりました。

ここまでパーツを分解して塗装作業を行いました。そうすると仕上がりがとても綺麗になります。
オルガンは意外と分解するとパーツが多く塗装作業も大変です。

 

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染めた木の上からウレタン塗料を塗装し保護していきます。
綺麗に仕上がってきました。

 

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継ぎ足した化粧板です。継ぎ目もあまりわからなくなりました。

これから組立の工程に入っていきます。

ヤマハ オルガン 5号 11個ストップ 「黒帯」 ③

少しずつ冬の装いに変わり、寒暖の差が激しくなってまいりましたがお体お変わりないでしょうか。

さて、オルガンの修理の少しずつ進んでまいりました。

 

先週は取り組んでおりました”空気袋”のラバークロス貼替を行い、完了しました!

また、外装の修復と塗装も開始しております。

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のラバークロスは”にかわ”で接着されております。にかわは経年劣化で次第に接着力がなくなっていきますが、このオルガンはまだしっかり接着されていました。ラバークロスを剥がして(アイロンで温めるとにかわが緩くなります)、木についている元のニカワをしっかり落としていきます。

 

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ノミで丁寧に落とします!

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空気袋には写真のような”弁”が付いております。
空気袋は小袋と大袋があり、足踏みすると小袋が縮んで空気を押し出します。
小袋と大袋は繋がっており、小袋で空気が抜かれると、繋がっている大袋の空気も抜かれていきます。抜けた空気がもとに戻らないようにするのがこの”弁”です。
ちょうど、人間の心臓に例えると、送られた血液が逆流しないように便が付いておりますが。空気袋についている羊の川で出来ている弁も同じ役割です。
まさに、”オルガン(臓器)”ですねf:id:artpiano:20210217231007j:plain

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弁は古くなっていたので、新しい素材で作成しました。素材は山羊皮です。

 

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ラバークロスの裏には厚紙が貼ってあり空気袋の動きをサポートしています。

 

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ラバークロスを貼っていきます。

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空気袋が復活しました!空気の漏れもなさそうです。

 

ヤマハ オルガン 5号 11個ストップ 「黒帯」 ②

オルガン修理の続きです。

こちらのオルガンは北九州の日本バプテスト小倉キリスト教会がお持ちのオルガンです。こちらの教会は1891年2月11日に伝道を開始してkら、2021年2月に伝道開始130年節目を迎えます。この機を記念して伝道開始130周年記念事業」の一環でこちらのオルガンを修理して2月14日にコンサート開催するされるそうです♪

 

オルガンの修理はまず、”上手に分解する”ことから始めます。オルガンのパーツは多岐にわたりますが、そのほとんどがネジで止められており、慎重に分解していきます。

当社がある山陰地方は湿気が多く、良くネジがさび付いていて”折らずに外す”だけでも一苦労することが多いです(ハンマーで叩く!逆にねじるなど技を使います)

小倉のオルガンは錆も少なく素直に外せました。

 

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オルガンの内部の状況です。11個あるストップはそれぞれの機能を発揮する装置につながっており、中には真ん中に見える”風車(トレモロ)”に繋がっており、空気が通ることで風車が回って、音をかき回して揺れるような音を物理的に作り出す装置もあります。面白いですね!ほかのストップはリード室に空気を通す蓋を開けるものなどです。

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屋根を外しました。

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前面からみた写真です。鍵盤の下に見える蓋が足で操作する二―スウェルに繋がっており、開くことで音量を大きくしたり操作することができます。

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外したパネル類。どんどん作業スペースが埋まります💦

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発音装置類を外しました。この下は空気袋が収められています。

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空気袋を外しました。奥に見えるのが空気袋です。

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空気袋の革はボロボロでした。

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ラバークロスに大穴が空いています。

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分解するとこんな感じ!!ここまでばらせます。今回は外装の塗装があるので、パーツ一つ一つの塗料を落として再塗装していきます。

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ネジは元の場所に戻すのが基本!リードオルガン協会の研修で教えて頂いた方法でネジの位置を記録していきます。

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パネル類も沢山あります。塗装が大変だ!

ヤマハ オルガン 11個ストップ 「黒帯」 ①

北九州より修理依頼が来ましたヤマハ11個ストップのオルガンの修理を開始しました。
このモデルは側面に染色された黒い木が帯状に装飾されており、通称”黒帯”と呼ばれているそうです。外装は化粧板の剥がれや塗装の剥げがあり、空気を送る空気袋はラバークロスに穴が空いていました。外装とラバークロスの貼替、内部メカニックの点検と消耗品の交換、調律調整という形で修理を進めていきます♬

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譜面台は化粧板の剥がれ

化粧板をつなげるか、全部剥がしてやり直すか・・・

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黒帯と呼ばれる所以の装飾

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ベヒシュタイン グランドピアノ ①

ベヒシュタイン グランドピアノ修理

最近取り組んでいるピアノ修理は恐らく100年以上前に作られた、ドイツの名器、ベヒシュタインの修理です。

県外のお客様からの依頼ですが、話を聞くと、韓国で修理され、一度売れたのですが、不具合が多くてお客さんから返却されたというピアノ💦

梱包してあるピアノを起こす前に、キャスターの不具合を発見して先にそれを修理します。

錆び付いて車輪の軸がうまくまわらないものを使い続けたことで穴が広がりガタガタに鳴っていました。
このまま使うと破損してピアノが倒れる危険があります。今回は真鍮製の棒を入れて穴を埋めて塞ぐことにしました。

 

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穴が広がって今にも壊れそう


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真鍮棒をいれていきます
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カットしたところ 裏から見るとこんな感じ
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表面を研磨すると、どこに棒が入っているか分からなくなります!こういうところが金属加工は面白い♪
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芯は鉄の磨き棒をいれていきます
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カシメて完成! スルスル動きます♪

伏魔殿に挑む!

7月に入って梅雨が本番のころ、手狭になってきた工場の作業スペースを確保するため、古くから置いてあったピアノを整理しようと奮闘しました!
ウチが「伏魔殿」と呼んでいた、約30年もの間人の手が入っていない在庫スペースにきりこみました
おじいちゃんの時代から保管してきたピアノたちの封を解いてみると、やはりほとんどのピアノがダメに💦

湿気でボディーが分解してきているもの、サビやカビが広がっているもの、響板や鍵盤もメタメタです。

それを一台一台分解して仕分けして、処分する
めちゃくちゃ疲れます💦もう暫くやりたく無い

多くのピアノは救えなかった・・・
もっと早く手をつけていれば修理出来たかもしれないと考えると残念です😭

しかし、不思議なことに響板が割れていても、弦を弾くと低音がしっかり鳴って、高音も音が伸びたりするピアノがあったりして

ピアノが「僕はまだ音を奏でられるよ!」「まだ生きてるよ」と言っているようで、少し悲しくなりました

ピアノをただ集めるだけじゃなく、自分の扱える範囲に絞らないと、結果ピアノを痛めてしまうのだと今回のことから感じます

でも、少し片付いてきたのでこのスペースを活用して作業効率アップ!!

これからも頑張ります✨

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手を付ける前
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湿気でボディーがボロボロに
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自動演奏ピアノもありました
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唯一救えそうなアトラスのグランド
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ロイトケのグランドピアノ
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数日かけてやっと向こうの壁が見えてきました!

 

ペトロフ オーバーホール アップライト

ペトロフのオーバーホール

 

ペトロフ社は1864年アントニーン・ペトロフによって創業されたチェコのメーカです。社会主義時代に国有化される以前、3代にわたってペトロフ家が所有し、技術革新に乗り遅れることなく、博覧会で数々の賞を受賞してきました。メーカーの特徴は頑丈の作りで歌うような音色が好まれています。

楽器店より修理のご依頼を頂き、オーバーホールを行っています。外装は化粧板が浮いてきていたり、色焼けがあったので木工で修正して塗装します。

 

アクションはセンターピンやフェルト等の消耗品を交換して、現状のパーツを活かして修理していきます。

 

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ダンパーの修理

ワイヤーが錆びていたので磨いて綺麗にしました。

 

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レンナーアクションの特徴である、ネジでのダンパー調整

ネジが緩んでいたので硬さの調整をしています。

クロスも交換します。

 

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特徴的なダンパーの形状

ひし形にカットしてあります。ダンパーフェルトも交換しますので、同じように加工していきます。